神奈川の庭、景色工房サフランのブログ。
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25年前、このアーリーアメリカン風の住宅は
ご夫婦の夢と共に、
自然豊かなこの地に建てられました。
完成して間もないある日、ご自宅へ帰られると
玄関前に、枝振りの見事なイヌツゲが、威風堂々と
まるでずっとそこにいたかのように、植わっていました。
「えーっツ…」
そのイヌツゲは、御父様からのプレゼントでした。
この家の雰囲気にあった木を植えようと
ご夫婦で考えていた矢先のことでした。
でも、息子夫婦のことを思ってのプレゼント。
無下にはできません。
自分の心に、言い聞かせるように
この木と共に25年、暮されてきました。
そして、御父様も、
定年後、一緒にお庭を楽しもうとされていたご主人も
先に、天国へ旅立たれました。
奥様から、お庭のリフォームのご相談を受けたとき
はじめは、樹齢はもう50年以上であろうイヌツゲを見て
「守り神の様なものだから、この木はこのままで」
と、お話ししました。
しかし、工事が進むにつれ
「何か違う」と感じ始めました。
そして、工事も終盤のある日
私から奥様に、イヌツゲの移植をご提案しました。
はじめは少し驚かれた様子でしたが
快く、移植することをご了解いただきました。
先日、イヌツゲの移植が終わり
新しい樹木を植え込んでいます。
門柱の後ろへ引越しした
御父様のイヌツゲに見守られながら、
ご主人と描いた夢に、少しでも近づくことができれば…。
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