野田総理の国連演説「世界最高の安全性の欺瞞」
9月22日朝(現地時間)野田総理が米国ニューヨークの国連本部で行われた「原子力安全に関するハイレベル会合」で演説をしました。
まず困ったのが全文がみつかりません。
首相官邸でも公開されていません。
どういうことでしょうか。
仕方ないので、インターネットで見ることのできるビデオや英文や新聞情報を元にこの文書を書きます。
まずビデオを見ると会場がガラガラです。国際社会から全く期待されていない演説です。
「日本は原子力発電の安全性を世界最高水準に高めます。」という首相の声がむなしく響きます。
世界の人からは「いまさら言うなよ」という感じではないでしょうか。
3・11大惨事で木っ端微塵に砕かれた安全神話の焼き直しはごめんです。
かつても日本の原子力村は世界最高水準の安全性とうそぶいていたではないですか。
世界一の地震と火山の国日本で自然災害に耐える原発などありません。
首相は「事故のすべてを迅速かつ正確に国際社会に開示する」と表明しましたが、そもそも6ヶ月も経っているのに未だに事故が終息していないのだから国際社会に信用しろというのも無理な話です。
そのような国が原発輸出の継続にも意欲を示し「原子力利用を模索する国々の関心に応える」ことになったらどうなるのか。
恐ろしいことです。
「福島第一原発の事故は人類が原子力にどのように関わっていくべきかという深遠の問いを我々に改めて投げかけています。」
もう後片付けをするだけです。
新たな原発など言語道断です。
「福島が『人々の強い意思と勇気によって人類の未来を切り開いた場所』として思い起こされる日が訪れると確信する。」
福島の犠牲の上に更なる原発を作り続ける意思表明に対しては強く反対しなければなりません。
同日国連前では市民団体による原発に反対する集会が開かれました。
世界がこちら側を選択することを祈ります。またそうなるよう行動しましょう!
蛇足ですが、会合の名前の英文は"high-level U.N. meeting on nuclear safety and security"なので、セキュリティの部分が抜けているのが気にかかります。
核セキュリティ、つまり核には常に兵器の問題が付随することを意識させる名称です。
日本のマスコミはこれを意図的に国民の目に触れないように細心の注意を払っているのでしょう。
野田佳彦首相、国際社会に事実上の“再稼働宣言”
野田首相は国連に行って「脱原発」宣言をするのかと思ったら、原発の売り込みを強調していた。
首相が、国の内外で言うことがちぐはぐなのは今に始まったことでもないが、これほどひどいのもめずらしい。
本当に電気が必要なのだったら、ガスタービン火力を導入する方が遙かに早道だし、低コストだ。
ベトナムなど天然ガスや石油など資源は豊富で、電力生産のため、いまさら原発を導入する必要など無いのだから。
成長戦略の名の下に、原子力産業に莫大な資金を流す目的で、原発輸出という「ニーズ」を作り上げた結果、いまさら止めるわけにも行かない、と。
そんなことをまだやっていられるほど政府には危機感が無いらしい。
これでは福島原発震災は何度でも繰り返すだろう。
まだ原発震災さえ終わっていない日本が売り込む資格など無い。
原発震災で世界に例を見ない3機同時メルトダウンを引き起こした責任をまず取る必要がある。
まだ賠償さえはじまってすらいない。原因究明どころか収束さえ出来ていない。放射能は放出され続けている。
日本の技術はまず福島原発震災の収束に全力を投入すべきであり、売り込みに費やす時間も資金もあるはずが無い。
しかもこれは数年で済む話では無いのだ。