JCOの沈殿槽での臨界事故の教訓が生かされていない。
福島第一原発事故は、いまだに収束が見えず、放射能汚染の広がりは続いています。
広大な汚染地帯の除染は絶望的です。
わずか1mgのウラン235がJCOの沈殿槽で臨界反応し、2人が死亡し667名も被曝者を出したのは12年前の9月30日です。
(茨城県東海村)
10時間にわたるこの臨界事故の教訓は今日の福島第一原発事故にもそのまま当てはまります。
それは次の点です。
1.ひとたび事故がおきると、多大な被曝者が生み出され、事故の収束作業は高い放射線(中性子線)の飛び交う中の困難さと共に、多くの時間を要すること。
2.事故を矮小に見せかけ、放出放射能の情報を隠したり、被ばく線量を半分の値で発表した。
3.国の無対応。それゆえ村上村長(東海村)の独自の判断で屋内退避を実施。
4.事故の責任を3名の労働者に押し付け、核燃料サイクル機構や原子力安全委員会や原子力委員会などの責任は一切問われなかった。
5.コスト削減による安全の放棄(4億円の溶解施設建設費を浮かし5名の労動者の「手作業」を強いていた)。
6.被曝線量を半減し、健康被害の保障を一切しなかった(大泉夫妻の健康被害補償要求に敵対し、支払いを拒否した)。また、JCOは風評被害に200億円を支払っている。
しかし、これとて請求額の半分だという。
このように、これらの教訓の多くは福島第一原発事故にも当てはまります。
原子力を推進してきた政府、原子力安全・保安院など官僚、安全委員会、原子炉メーカー、電力会社、裁判所、マスコミなどの罪はいかに大きいということがわかります。