我が家の玄関先に飾り物が増えた。 従業員のQちゃんから先日貰った「南天九猿」(または「苦難猿」「九難猿」)。 お母様の手作りだそうだ。 舟となっている枝はナンテン。そういえば以前Qちゃんが現場で出たナンテンの枝を持ち帰っていたっけ。 箸でも作るのかと思って見ていたのだが、あれがコレになった訳ね。 (注:南天の木は、古来から難を転じる力を持つ鬼門封じの吉木とされていて、夫婦箸の素材としてよく用いられている。また南天の茎や枝には抗菌力のある「ベルべリン」(アルカノイドの一種)が含まれていることが医学的に証明されているそうで、赤飯の上に添えられているのもうなづける。) コレを貰った瞬間に連想したのが伊豆の稲取で見た「つるし雛」。 ナンテンの枝に並んで居るのが猿だというのはそれですぐ分かった。 さる(去る)にかけて、「病が去る」・「災いが去る」という縁起物である。 9匹の猿が”難を転ずる”南天の舟に乗って苦難を持ち去る」という引っ掛けが絡み合った代物だ。 こういう物の存在を知らなかった私はQちゃんのお母様のオリジナルかと思って感心したのだが、ちょっと調べてみたらまあ色んなブログに登場していた。ヤフオクにも商品としてたくさん出ているのには驚いた。 いつから出回ったのか定かでは無いが、東日本大震災のあと急激に広まったものらしく、 流し雛で有名な鳥取県の用瀬町(もちがせちょう)のお婆さんが発案したという説や、飛騨高山が発祥だという説も。 南天の舟に乗っていることから用瀬町説が有力な気もするが、いずれにしてもどこぞの優しいお婆さんが願いを込めて作り出してくれたのだろう。 意匠登録も元祖主張も無く「カワイイ!」と皆に愛されていることが素敵ではないか。 「カワイイ!」の一翼を担っているのがこの猿の顔に使われている天然のハート柄を生かしたフウセンカヅラの種だろう。 この種の大きさに合わせて猿が作られているから自ずとこういうミニチュアサイズになるのだろうが、それにしても器用に作るものだ。 来年は申年ということもあって、しばらくは我が家の玄関で縁起の良いオーラを発してくれることだろう。(By K)