花と樹と風と土 ガーデン工房 結 -YUI- のガーデン通信
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前回の干潟調査の翌日に訪れた山元町。 ここでもようやく除塩事業が始まった様子でした。 その進行速度にもばらつきがあるようで、 区画整理の直後だったり、作付けがとっくに始まっていたり、 随所にまだ塩害の痕跡が残っていたりするものの… そうした地区はまだましな方で、海岸に近づけばまだまだ復興の気配が見えてこない場所の方が多いです。 それでもようやくガレキの山が少しずつ減り始めていましたし、 「再生資源仮置場」などという以前には見られなかった施設も建設されていました。 こちらは坂元地区の田んぼ跡。 被害が甚大だったこのあたりの田んぼは、どれも荒れ果てたまま雨水も抜けない湿地と化しているのですが、 その水の中にもやはり生き物たちはいて、ヒメアメンボやオタマジャクシ、それに… これはヒメモノアラガイだと思います。 どうやって戻ってきたのでしょうか? 駅舎が流されホームとトイレだけが残った坂元駅も、HANAsakasoプロジェクトで植えた菜の花が終わった後に、 新たに植栽をしてくださった方、その後に草取りにきてくださった方が居た様子。 その中には種を飛ばし終えた、菜の花のカラも残っていました。 そして、 壊れた駅舎によって津波から守られたトイレの前のタイサンボクが、甘い香りの大きな花を咲かせてくれていました。 被災地に咲く花はやはり美しく、それは別にわれわれのために咲いているのではないのかもしれないけれど… その花たちに救われる人が一人でもいる限り、われわれの花を植えたり大切に守ったりする活動に、まだまだ終わりは来ていないという気がしました。 そして、この週末。8月4〜5日のこと。 前回やり残した草取りの続きをさせてもらいに、さらには山元町恒例の「子どもも大人もみんなで遊び隊」に参加すべく、再び山元町を訪問させてもらいました。今回は高一になった娘と仕事仲間が同行して作業を手伝ってくれました。 今回の「遊び隊」は町役場に隣接して、現在教育委員会生涯学習課の入っている中央公民館が会場です。 これは7月の写真ですが、手前に写っているりんごラジオのスタジオの装いが変わっていて、 とても涼しげでした。娘は中の様子に興味津々。 この季節、仮設のプレハブの中はあっという間に高温に達します。 そうそう。 前日訪れた地場産品の販売所「夢いちごの郷」も、以前の店舗が被災して現在は国道沿いのプレハブで営業中でした。間違えて被災した店舗の方を訪ねてしまい、電話を入れて新しい場所を教えていただきました。 ここで仕入れたのは山元町産のリンゴジュースとぶどうジュース。そして傑作「パプリカアイス」! アイスはもちろんその場で食べたのですが、ジュースは今回の出店では目玉商品の材料となります。 そのほか、工房地球村さんから届けていただいた山元産手作りいちごジャム「いちごものがたり」! という訳で、 今回の遊び隊では、以前の経験を活かしたノンカクテルコーナーをやらせていただくことにしました。 ベース(?)は前日のうちに地元で調達しておいた炭酸と牛乳とヨーグルト。ハーブコーディアルやフルーツシロップは事前に準備しておいて、ハーブティーは前夜ホテルで仕込んでありました。 それらをお客さんのリクエストに応じていろいろアレンジして、冷たい飲み物を楽しんでもらおうという趣向です。 別に無料でも良かったのですが、それでは他の出店者に迷惑が掛かると言うことで価格を1杯100円といたしました。 でも、そんな心配はまったくの無用で、 ソフトクリームとかき氷と焼きそばとフランクフルト…強力ラインナップを擁する地元の屋台に、お客さんが殺到。 あっという間にできた行列がずっと続いておりました。 …それにしても暑いこと! こちらはまあ、そんな混雑を避ける来場者の憩いの場という風情。 そんな中で飲みに来てくれたのが野外ライブ出演前のシンガーソングライター、ひなたなほこさん。 「すごく美味しい!」 エルダーフラワーのさわやかソーダをとても気に入ってもらった様子で、「こっちの方が安くて美味しいのに!」と、周囲に精一杯宣伝してくれました。 あとでライブを拝見したところ、とても表現力が豊かでステキな歌をいっぱい歌っておられました。 客席から大胆に視線をそらして歌う芝居のような演出にも思わず引きつけられましたが、 なるほど。 後で調べると、もともとは舞台女優さんだったということです。…納得。 やさしい語り口と温かな歌詞。 可愛らしい仕草で油断させておいて、あっという間に会場の雰囲気を作り上げてしまうその手腕は確かに現在舞台演出で活躍中だけのことはあります。 小さな子どもを持つ家庭を中心に支持をいっぱい受けて、ふれあいをとても大切にしながら小さなライブを積み重ねていらっしゃるその活動の様子には、とても共感できるものがありました。 さて、電話での呼び出しがあって… 「向井さん、お客さんが待っているんですが」 …すみません! 再びバーテンダーに逆戻り。 1杯1杯考えながら作るカクテルは量産が出来ません。 本来なら軽くステアする(かき混ぜる)だけで十分なフルーツジュースやハーブティーのミルクドリンクも、いちいちシェイカーを使った方が冷え方も早いし見ていて楽しいことから、ついつい時間をかけて作ってしまいます。 たとえば山元産いちごジャムのソーダの場合。シェイカーにたっぷりの氷といちごジャムと、シロップとレモン汁を少々。それをしっかり振ってよく混ぜた上でギンギンに冷やしてから全部丸ごとグラスに空けます。それからソーダ水を注いでさらに氷を足すという…そういうレシピになります。 だから暑さも手伝ってロックアイスがあっという間に底をつき、追加を買いに走るほど。 結局売れたのが78杯。その他ボランティアスタッフの皆さんに振る舞ったのを合わせても100杯あまり、かな。4時間ではそれが精一杯でした。 でも、 子どもたちにシェイカーを使ってもらったり、 頼んでもいないのに片付けを手伝ってもらったり… ひななっちゃんほどではないにせよ、ふれ合いと会話たっぷりの、間違いなく楽しいひと時でした。 遊び隊スタッフの皆さんも猛暑の中本当に大活躍で、事務局長の渡邉修次(前山元町立山下中学校校長)先生も相変わらずお元気。 イベント開始直後に発表されたスタッフの皆さんが作り上げた山元町の新しい歌「この町で」も発表されて、準備に追われていたわたしたちは遠くで聴くしか出来ませんでしたが、力強い歌詞と温かくて美しいメロディーの、素敵な歌でした。 (ここでは遊び隊隊長の吉田和子さんと生涯学習課でいつもお世話になりっぱなしの齋藤香織さんが大活躍!) 高校生のボランティアスタッフも明るい声を張り上げていました。 (写真は少しのんびりした時間帯ですが…) 同じ出展者の皆さんも相変わらず大勢で多種多様。 県内外から、地元から、仮設住宅から… その輪の中で共に過ごした時間は、とても濃厚で味わい深いものでした。 山元町には次回8月24日に再訪する予定でいます。 今度は花を持って… |