花と樹と風と土 ガーデン工房 結 -YUI- のガーデン通信
被災地に寄せ植えを届ける〜再び、山元町
ニックネーム: 向井康治
投稿日時: 2013/03/11 06:53

 あいかわらず風の強い宮城県は亘理郡亘理町の宿泊施設にて。
 3月11日の早朝です。


 昨日は朝の3時に出て仕事仲間のSんと合流、交代で軽トラックを運転して山元町到着は予定通り、6時間後の9時少し前でした。
 最初にまず訪れたのは今回修次先生(山下中学校前校長にして山元子どもも大人もみんなで遊び隊事務局長、渡辺修次先生)に教えていただいた「みんなのとしょかん」。



 常磐線旧山下駅の近く、被災して解体された住宅の跡にいろいろな方の努力で建てられたものです。



 出来たばかりで周辺には何もなく、殺風景で潤いがないので、何か出来ないかという発信がありましたので、まずは見て見たいと思いました。




 夏の暑い日のために、木陰を作ってくれる高い樹が植えられると良いなと思いました。
 土は見るからに堅そうで砂利も混じり、おそらくは塩の濃度も高い事でしょう。塩に強い樹を選ぶことはもちろん、周囲の土も入れ替えなければならないと感じました。草花も直植えよりも花壇にして栄養分の高い土を運んで来れればと思いました。
 余計な事をしてもいけませんが、でも専門家としてお手伝いできることであれば、いずれまたお役に立ちたいと思います。

 さて、今回の目的地の山下中学校です。
 11日の追悼式会場となります。



 ここに運んできた寄せ植えたちを降ろし、



 地元、埼玉県皆野町の花苗生産者、山下園芸さんから使ってくださいと託されてきたパンジー苗の手入れをし、



 花壇の手入れを開始した頃まではまだ、寒くはあっても快適な滑り出しでした。

 10時を過ぎた頃でしたか…



 にわかに風が強まり、激しい音とともに砂ぼこりが舞い上がり、最大で風速20メートルは越えるだろうというような嵐となりました。

 学校に飾られた幸せの黄色いハンカチもご覧のとおりで吹き飛ばれそうになるほど。



 やむを得ないので寄せ植えたちの配置はあきらめて昇降口の中に避難させていただくことに…





 ただ、花壇の植え込みと、とにかく乾燥が激しいので水やりだけは強風を突いて行いました。
 これにはたまたまこちらで合流した、かつてHANAsakasoプロジェクトでご一緒した鴻巣市のIさん親子が手伝ってくださいました。

 どなたかが後から大量に植えたしてくださったチューリップの芽はまだこれからですので、今は彩りの少なくなっていた花壇でした。





 せめてチューリップが入学式までに間に合うと良いですね。



 ということで、この日出来るのはここまで。


 砂嵐のばくのような海岸沿いのストロベリーラインを通り、



 バチバチとクルマを叩く砂や小石の音に驚きながら…



 旧坂元駅を訪れました。



 残っていたトイレの建物も、その前に頑張って立っていたタイサンボクの樹も今では撤去されていました。
 われわれの感傷など、被災地の復興になんら役に立たないものなのですが、一抹の寂しさはありました。



 われわれが昨年、雪の中で凍えながら菜の花の苗を植えた場所に、高野山のみなさんが整備したという花壇が出来ており、栃木県大田原市のみなさんが植えた様子のチューリップが芽を出していました。
 これは感傷でも何でもなく、嬉しいことだと思いました。

 暮らしをあっさり更新して上書きすることはできません。
 この日も修次先生と訪れた旧山下駅前では、常磐線の路線変更に反対するみなさんの声を聞きました。旧市街を切り捨てないでほしいという痛切な願いが、町の復興推進にとって障害とされてしまうことは、とても悲しいことです。

 でも支援活動はどんどん乗り越え、踏み越え、上書されて行けばいい。
 誰かが植えた花の苗を、次にきた誰かがひっこ抜いて新しい苗を植えて行くかもしれない。ヒマワリやアサガオやコスモスの種がいっぱい隠れている土がひっくり返されて、花壇として整備されてしまうかもしれない。誰かが花壇に添えたメッセージカードが、ゴミとして処分されてしまうかもしれない。
 本当は誰かが管理したり引き継いだりコーディネートしたり出来ればよいのだろうけれど、それを被災地のみなさんに期待するのは絶対に違う訳だし、そうした事に今ではかなり少なくなってきたボランティアの方の数を割くこともできません。
 だから、どんどん上書きしていけばよいとわたしは思います。
 それは気持ちの上書きなんだから、更新しても更新しても支援の気持ちが削徐されてしまうことないと信じます。





 本日、3月11日。
 東日本大震災から2年目を迎える今日。
 この地に居られ、みなさんと祈りを共にできることを、とても幸せに思います。




































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