花と樹と風と土 ガーデン工房 結 -YUI- のガーデン通信
|
この地は昨年の同時期に引き続いて2度目の訪問となります。干潟の調査でも訪れました。 石巻は北上川の河口近く。その左岸のこの一帯は津波が堤防を決壊させて多くの住宅や水田が浸水しました。 それでも大川小学校の悲劇で知られる右岸に比べれば復旧の速度は速く、その大きな要因は豊かな水源であったと伺いました。 今回は、実際に現地で水田の復興に携わっておられる「北上川沿岸土地改良区」の方が調査に参加して下さり、震災当時の様子や水田復興のご苦労など、貴重なお話しを伺うことができました。 初日午前中の被災田。 今回の発見種数は昨年と同じ27種。わたしは16種でした。 しかしながら昨年は圧倒的に少なかった貝類とカエルの仲間をとても多く見つけることができました。 特にこのニホンアカガエルは、昨年のこの田んぼからは発見されなかったものでした。 歩いて移動するこのカエル類と、水中のみを移動するサカマキガイ・ヒメモノアラガイなどの貝類とは、復興して間もない被災田に戻ってくるのに時間が掛かるのでは無いかというのが、東北大学の皆さんのご意見でした。 午後の対照田。 発見種数は昨年の33種に対して今回が38種。わたしは区分ケース1つを「うにょうにょ系」で一杯にして、1つ追加をお願いしての24種でした。 カエルについてはこの時期この場所に生息するニホンアカガエル、ニホンアマガエル、シュレーゲルアオガエル、トウキョウダルマガエルの4種。 そしてやや大物のヒメゲンゴロウでした。 2日目、北上地区。 午前中は北上川の改修工事が進む堤防近くの被災田でした。 こちらの発見種数が29種(わたしが15種)。やはり昨年は1種しか発見されなかったカエルの仲間が今年は4種すべて見つかり、貝類も見られるようになったとのこと。 午後の対照水田が36種(わたしが17種)。 昨年見つからなかったヒルやアカネ類のヤゴもいました。 今回、わたしはひとつの目的をもってこの調査に参加しました。 独自の田んぼの生きもの調査を出来ないか。 埼玉の子どもたちにまず地元で調査に参加してもらい、いずれ被災地の復興田調査へと展開していき、被災地の子どもたちにも自分たちの住む地域の復興を体感してもらう一助にしつつ、埼玉の子どもたちとの交流も深めてもらいたい。 きっかけは、わたしのブログを読んで下さったこちらのお客さんから、東北だけでなくこちらでも田んぼの調査をやりませんかと、声を掛けて頂いたことでした。 ご実家の田んぼを使わせて頂けるというありがたいお話で、その時からずっと、わたしは調査キットの収集に努めてきました。事あるごとに100円ショップに長居して、ホームセンターでも使えそうなものを物色し、安価でどこでも手に入るものに限定してまずは一式、今回の調査に持参してみました。 東北大学の皆さんに見て頂いてご意見も伺いました。 もしそれが実現できれば、今回のプロジェクトの目的の一つである「環境リテラシー」の実現となる訳ですが… 研究員の皆さんの指導無しでどこまでのことが出来るかまったく自信はないのですが、今回そこまで大胆な発想が出来たのには、今年東北大学の向井助教が完成させた「田んぼのいきもの図鑑」によるところが大きいと思います。 これを使って今回、どこまで自分が独力で生きものを同定できるか確認したかったのですが。 何度目かの挑戦で… 左からシュレーゲル、ニホンアカ、ニホンアマ、トウキョウダルマ。 4種のオタマジャクシの同定に成功することが出来ました。 この先自分がどれほどの役割を果たしていけるか、はなはだ心許ないところですが、まあ自分も楽しみながら地元の田んぼと関わっていけたらと思います。 とりあえず… 来週、小川町の田んぼで生きものを探します。 |