常磐道が全線開通してから、初めて宮城に向かった。先週末のこと。
常磐道が通じて、東日本大震災被災地へのアクセスがかなり容易になった。
冬場は特に雪の多い東北道を避けられるのが助かる。
先に開通した6号線より放射線の線量が低く、高濃度の汚染地域も迂回できる。
しかし、気持ちまでがそれを迂回してしまってはいけないと思う。
物忘れが激しいわれわれは、視たくないものからいったん目を逸らしてしまうと、簡単に忘れて、無かったことにしてしまいかねない。
だから時間に余裕さえ有れば、片道だけでも6号線を使おうと決めている。
今回は高校生の娘が一緒だったが、やはりこの道を使うことにした。
10代の女の子を、何も好んで低線量被曝地域に連れて行くことは無いだろうとの批判は、甘んじて受けようと思っている。
もちろん、レントゲンほどの被曝もしないとかいう国の宣伝文句を鵜呑みにするつもりはない。それこそ好き好んで不要なレントゲン検査を受ける人はいないのだから。
でも、その低線量被曝を強いられている人々は現にいる訳だし、何よりもここには同時代に生きる人間として必ず見て知っておくべきものがあると思う。
帰宅困難地域に入ってから、娘に写真を撮らせてみた。
時速50キロで走る車窓から撮っていたので、大した写真にはならないと思ったが、まあそこそこのものになっていた。
立入禁止区域の入口に立つ警官や警備員ひとりひとりに「ごめんなさい」と言いながらカメラを向ける娘は、だんだんと無口になっていった。
彼女の目線を記録できたのは、収穫だと思っている。