今年の夏は震災の年に離れて以来14年ぶりに神戸を訪れて、以前勤めていた造園会社の社長を訪ね、古い仲間との再会を果たしました。 これもETC割引の恩恵ですね。週末から次の週末までの1週間の旅行でしたので、その間に2日ほど京都を訪ねる事ができました。 訪ねてみたかった庭は本当に数知れず! でも、2日間の旅では見学できる範囲が限られてしまいます。 うーん。 地元の方が羨ましい! そんなわけで今回は宿をとった東山界隈にしぼりこんで集中的に見学させて頂くことにしたのですが、それでも、江戸、明治、昭和と3つの時代の庭を堪能することが出来たのはとても幸いでした。 まずは小川治兵衛の明治の庭。 平安神宮神苑。 市街地のど真ん中にこれだけ広大な回遊式庭園が現存することに驚かされます。 歩くたび変わる景色をじっくり堪能させてもらいました。 そして、無鄰菴。 これも市街地から一歩踏み入れただけで拡がる別世界ですが、平安神宮とはまた違うモダンを感じさせられます。 何より水の流れの涼やかなこと。 そして南禅寺に足を向けると、こちらは小堀遠州による江戸慶長年間の庭。 著名な枯山水の方丈庭園です。 そしてこれは中庭でしたか。 凛とした身の引き締まる緊張感があります。 2日目は南に下って東福寺に、重森三玲の昭和の庭を訪ねました。 これも著名な八相の庭と、 幸いなことに、夏季に公開するのは初めてという龍吟庵の方丈庭園まで見学することが出来ました。 枯山水のアバンギャルド、というと何やらすごく矛盾するようですが、実際のところ日本庭園史を辿っていくと常に新しいスタイル、新しい工夫を求めるどん欲な情熱をわたしはいつも感じます。 イングリッシュガーデンを始めとする西洋庭園史が常に、前時代の庭園スタイルの破壊の歴史であったのと同様に、伝統的といわれる日本庭園もまた、古い様式の模倣と踏襲と改革のくり返しであって、連綿と同じ様式を守るだけのもので無いとすれば、この三玲の庭で感応させられる高揚感は、この先われわれが現代の庭園をデザインする作業と同じ地平線上にあるのではないかと、(すごく生意気ではありますが)そんなことを考えさせられてしまいました。 今回の旅行は中学1年の娘を同行させたため、この他に彼女のリクエストで清水寺、三十三間堂、新選組の壬生屯所跡、祇園と見学は多岐に渡り、しかしその割りにはかなりの名園を堪能したと思うのです。 が、 それでも、たとえば南禅寺の伽藍を巡っているとそこここの塔頭ごとに遠州作の庭園があり、他にも南北朝時代の回遊式庭園まであり、おそらく訪ねた場所の中だけでも見逃した庭園の方が多いほどで、古都京都の奥行きの深さ、底知れぬすごみをつくづく実感した2日間でした。 親子二人、すっかり京都にはまってしまいましたので、近々またお邪魔いたします。 本当に地元の皆さんが羨ましい