昨年6月のしごと… 0様邸に続いて手がけたのが、S様邸でした。 いくらか後になって分かったことでしたが、それぞれのお嬢さんがクラスはべつでしたが同じバレエ教室に通っていて、今回の庭づくりがきっかけでふたつのご家族が親しくなられるというオマケ付でした。 夏の発表会にわたしたちが出掛けたのは言うまでもありません。 さて、着工前の様子です。 敷地内は石がゴロゴロ、建物のGLに対してその正面部分は300mmほど下がっています。 もちろん埋め立ててフラットにしてしまえば使いやすくて安全なお庭になるのですが、このご家族は冬の寒さもも嵐もものともせずにキャンプに出掛ける超アウトドア一家。 予算も超過させたくなかったため、あえてそのままの形状でデザインして、自然な起伏のあるお庭にすることになりました。 でも、リビングの前のウッドデッキは必須要件でした。 するとデッキの天端と低い土地のレベルとの差は800mm以上になって、はなはだ危険なものになるし、かといってわざわざお庭を仕切って狭くするような手すりは取り付けたくない… この最大の課題を一発逆転のアイデアでクリアしたのはご夫婦でしたが、それはまた後ほど。 まずは低い土地の排水を確保するため、透水層と透水パイプを敷設するところからお仕事は始まり、ウッドデッキの施工に入りました。 学校から早く戻ったお嬢さんが、バレエ教室に出掛ける前の僅かな時間に、いろいろ手伝ってくれました。 手練りのモルタル作りはすぐにマスターしちゃったみたいです。 デッキの床板張りは週末、ご家族全員でするというお約束も。 ウリンの床材張りは3つのドリルを使い分けての手間の掛かる仕事なのですが、ご主人は黙々とお一人で仕上げてくださいました。 それもお子さまのネジ渡しと木くずの掃除あってのことかもしれません。 そして、こちらの自転車置き場。 材料をこちらで準備し途中まで施工しておいて、あとはやはりご家族で仕上げていただきました。 もちろん予算を低く抑えるという目的もありましたが、ご家族で力を合わせて作ることに意味があったと思います。 そのようにして完成したウッドデッキ! 800mmの段差を逆手に取った滑り台です。 初めての滑り台の設計と施工には苦労しましたが、なんとかご近所でも人気の滑り台になりました。 ここではささくれが無く、表面の滑らかなウリンがその特性をいかんなく発揮しました。 この写真は最近撮ったものなので高麗芝が茶色くなっていますが、これもご家族で張られたものです。 滑り台から下りた先にクッションが欲しいと、そちらから順次張り足していくことになりました。 転落しても大ケガしないようにと、デッキの下にはラベンダーやローズマリーの茂みが出来る予定です。 転落しないように、という発想でないところがこのご家族らしくて素敵です。 アイデアと言えば車庫からアプローチに掛けての仕上げの方法… 当初は雑草の心配もあり、芝との間をレンガで見切って化粧砂利で収める予定でしたが、何となく引っかかるとの奥さま声でストップ。 時間を掛けて相談して、悩んだ挙げ句に提案したのがこちらでした。 ユーカリ・レッドガムの枕木(防腐処理無しの新材です)を並べて動線をはっきりさせてメリハリをつけ、後は真砂土を敷きならしてしっかりと転圧しました。 下地がもともと安定していたせいもありますが、これが思いのほかしっかりして、クルマを入れてもかすかにワダチの跡が付く程度。雨が降っても流れず、これまでのように靴に泥が付くこともないし、お子さまが転んで怪我をすることもなく、おまけに雑草もほとんど生えてきませんでした。 なにより… ご自宅にひとつ、キャンプ場を作っちゃいましたねと、ご家族と一緒に笑ってしまいました。 この春には、ところどころにクリーピング・タイムなどを植えていくつもりです。 庭の片隅、隣地との境のブロックが少し無機的過ぎましたので、工事で掘り出した石を集めてミニ・ロックガーデンをオマケで作りました。 ここで使ったセダムたちも、お庭のあちこちでこれまで奥様さまが育て、こぼれ種で増えたのを拾ってきたものです。 昨年の夏の間中、時折こちらのお宅の前を通るたびに見かけた光景… とても暑かったですからね。 そりゃあ、気持ちよかったと思います。 よろしければ、ホームページもご覧下さい。 http://www.yui-garden.com/