花と樹と風と土 ガーデン工房 結 -YUI- のガーデン通信
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二日目は前日に引き続き、北上川左岸のうち北上町女川という地区で6枚の田んぼの調査を行いました。 女川というのは、北上川河口の南側に位置して原発で知られる女川町が有名ですが、ここはそことはまた違って現在は石巻市、北上町の一地区名です。この場所も川の堤防を越えた津波が谷間の集落に押し寄せて多くの田んぼが浸水し、谷の奥の方ではなんとか被害を免れました。午前中はそうした対照水田のうちの3枚を調査しました。 全般に、前日の北上地区より生き物が多いような印象を受けました。 これもやはり谷に入った分、周囲を林や里山に囲まれて自然が豊かなせいかも知れません。 たとえば…すこし分かりにくいかもしれませんが… このトレイから生き物たちをピックアップするのですが、ここにはキベリヒラタガムシとカイエビとオタマジャクシがいました。もっと近づかないと分かりませんが、ミジンコやユスリカやコミズムシとかも… で、これがこの田んぼで見つけた… ウスバキトンボの幼虫、ヤゴです。顔は確かにトンボですね。 同定の決め手は、お腹のトゲでした。 ここでも向井助教手作りの「田んぼの生きもの観察図鑑(宮城県沿岸部版)」が活躍しましたが、毎回進化を遂げていくこの図鑑もそろそろ完成形に近いものがあります。今回の第3版では実物大写真まで付いていました! (参加者にはこれがプレゼントされます) そして、 これがこの田んぼからの収穫でした。 発見種数は全体で37種。わたしは17種でした。 午後。 被災田の調査に向かいました。少しばかり川に向かって走った、こちらはとても開けた場所で、ウミネコたちがたくさん、畔で休んだり田んぼで水を浴びたりしていました。 こちらは牛糞堆肥を散布している様子。 みなさん、耕作地の地力回復に苦労されていました。 向井助教の取材によるとこのお隣の耕作地は水田ではなく牧草地として復旧するのだそうです。 こちらが調査対象となった被災田。 仙台今泉の田んぼと違うのは堆積したヘドロの色でした。灰色に近く、ややヘドロ臭がしました。 これが発見した生き物のリストですが、 ガムシの仲間が豊富で、ハエやカの幼虫も多いのが特徴的です。 やはり飛翔する生き物の移動は盛んと言うことなのでしょうね。 オタマジャクシの数が少なかったのも印象的で、このカエルの存在がポイントかもしれないというのが、向井さんの感想でした。これからの解析結果も楽しみです。 発見種数は午前よりやや少ない32種。被災田に強いわたしは同数の17でした。 今回は2日目が雨でしたが、強い降りではなくほとんどの作業はテントの下で行いましたので、さして苦になることはなかった気がします。うん。でもやはり、スタッフの皆さんの後片付けは容易でないでしょうね。 おかげさまで今回も楽しく調査をさせていただきました。 次は田んぼの中干し期間を置いて、8月の後半に再度3か所の地区を訪ね、これまでに調査した田んぼを再度調べるということでした。ここでは3週連続の調査になるため、その準備や片付けを考えると本当にスタッフの皆さん、特に向井助教のご苦労が想像できて身が引き締まる思いです。 わたしはその最終回で再度仙台今泉と七ヶ浜を訪ねる予定ですが、うーん。今からとても楽しみです。 来週は田んぼではなく、同プロジェクトの「干潟調査」に参加する予定。調査地は今回同様北上川の河口付近だそうです。帰りには久しぶりに山元町を訪ねます。 |