花と樹と風と土 ガーデン工房 結 -YUI- のガーデン通信
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去る12月1日。 当日は朝からとても寒く、体育館の中はとても冷えていましたし、期末テストの初日の午後ということもあって早々に切り上げようと、最初は1時間は越えようかと思われる原稿をかなり頑張って切り詰めたのですが。それでも40分の持ち時間をはるかにオーバーしてしまいました。 見てのとおり、少し着込んでいます。 少し風邪気味だったし… 内容はこれまでこのブログで報告してきたことがほとんどなので改めて繰り返しませんが、その一部だけ… 手元のプリントに書いてある「ガーデンデザイナー」とか「ガーデナー」とかいう職業は、残念ながらタウンページには載っていません。「ガーデニング」というくくりのなかでかろうじて「園芸店」と「造園業」というのはありますが、それとは少し違うのでまだまだ世間では認めてもらっていない職業なのかも知れません。 ガーデンデザイナーは、その名の通り庭のデザインをする仕事です。 世間でなかなか認めてもらっていない証拠に、この仕事はあまりお金になりません。いつもたいてい無料で庭の図面を書いています。今回の講演の、進路の勉強ということでは、これはあまりみなさんにお勧めすることができません。 だから設計するだけでなく実際に庭を作らないとお金をもらえませんので、わたしは普段土を動かしたり、レンガやブロックを積んだり、左官仕事をしたり、ウッドデッキを作ったり、木や草花を植えたりして働いています。それがまあ、造園屋さんとか外構屋さんとか呼ばれる職業なのですが、私の場合は植物を中心に据えてやっていますのでガーデナーと自称しています。日本語で言うと「庭師」といったところです。 この仕事はとても面白いです。 やればやるほど庭がきれいになっていく。お客さんがとても喜んでくれる。 かっこの良い言い方をするとガーデンのデザインは、お客さんの暮らしまでデザインする訳ですから、自然とお客さんのご家族とのお付き合いも深くなっていきます。感謝されてお金ももらえる仕事というのは、とてもやりがいがあります。 そして、われわれが扱う植物にはとても不思議な力があります。 見る人の気持ちを明るくしてくれる。元気にしてくれる。気持に張りや潤いを与えてくれます。 だから花は、これまでもいろいろなボランティアの活動の中で、いっぱい使ってきました。 ボランティアという仕事もね、お金をもらえない訳ですからあまり進路の学習にはふさわしくないですね。でも今回はその話をしたいと思います。 なぜならそこから学べることや得られることがたくさんあるからです。 プリントにも書きましたが、「情けは人の為ならず」ということわざがあります。 誰かのために何かをすれば、まわりまわって自分の身にいいことが起こる。自分のためになる。別にそれを目的にして自分のためだと思ってやらなくてもいいし、そう考えてばかりだとそれはそれでダメなのだと思いますが、心から人の役に立ちたいと思えば思うほど、自分が得るものも大きいのでしょう。 ボランティアの意味はじつはそういうところにもあるのだと、今回はつくづく思いました。 だから、「してあげる」ではなく、「させていただく」ということなのだと考えます。 そして、ボランティアにはする権利と資格が存在するのだと思います。 もうひとつ、今年のPTA研修旅行では都内をまわって、その中で東京フォーラムにある相田みつをさんの美術館を訪ねました。相田さんのさまざまな作品に触れてきましたが、その中にあそぶという漢字ひと文字を大きく描いた「遊」という作品があってそれがとても気になりました。 その隣に相田さんのメッセージが添えられていました。 「遊於娑婆世界」 観音経の言葉ですね。娑婆世界とは人間の住むこの世界のことで、観音様はそこですべての人々を救って仏の世界に導こうと誓いを立てます。それを観音行というのですが、そのことを「娑婆世界に於いて遊ぶ」というわけです。相田さんは言います。 「遊びだから、それによって何らかの報酬を得ようとか、人からよく思われたいとかいう意識はまったくありません。損得の勘定が一切まじらない純粋な行為、それが観音様の仕事であり遊びなんですね」 わたしはそれを読んで感心して、あ、ボランティアって、そういう意味では遊びなのかもしれないな、と思いました。 最後には生徒会のみなさんからお礼の言葉と花束までいただき、話している時よりもその後のほうがガチガチに緊張してしまいました。 そして昨日、学校からその時の写真と校長先生のお礼の手紙と、さらに丁寧につづられた生徒300人からの感想文が届けられました! 後で届けられると聞いていたし楽しみにもしていましたが、まさかこんなにひとりひとりがしっかり書いてくれているとは思わず、とても感動しました。 どの子もあのつたないわたしの話をしっかり聞いていてくれたらしく、わたしの伝えたかったことはみんなしっかり伝わっていた事が分かりましたし、その感想もとても素直で前向きなものでした。 すぐにでも被災地に行ってボランティアの手伝いをしたい、今は行けないけれど大きくなったらきっと行く、被災地には行けないけれど今この場で自分にできることを考えてしたい… それぞれ姿勢は微妙に違っているけれど、そのどれもがとても正しいと思いました。 われわれの仕事にも興味を持ってくれていて、「花の持つ力」も正確に理解してくれていたと思います。 機会があればその一部だけでも、ここで紹介していきたいと思ってます。 山元町ではいま、武内比登美さんをはじめとするプロジェクトのメンバーが、地元の皆さんと一緒になってモミの木の飾り付けをしていることでしょう。 11日にはわたしもまた山元町を訪ねます。 今回は娘のほかに中学生の親子2組も同行してくれます。 中学生たちの中に芽生えたいろいろな思いが、この先のいつか、被災地のみなさんの元に具体的な形になって届くと良いですよね。 HANA sakaso プロジェクトの活動はさらに続きます。 みなさまからの支援に加え、温かい応援のメッセージをお待ちしております。 ご協力頂ける方は以下のサイトからご連絡をお願いいたします。 HANA sakaso プロジェクト with mother Love |